BookTube【ヴァージニア・ウルフ】その魅力とは

おすすめ

今回のピックアップは、イギリスの作家・ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)。日本での聞き馴染みは少ないように思われるが、BookTubeの好きな本ランキングや名作ランキングではよく目にする名作家の1人。

意識の流れ(ウィリアム・ジェイムズ提唱)を取り入れたと評される事も多い。心理学の概念「人間の意識は静的な部分の配列によって成り立つものではなく、動的なイメージや観念が流れるように連なったものである」を指す言葉。

文学評では人物像を深く掘り下げるなど「心を通過する多様な思考や感情を描写」することをいう。

フェミニズムと女性の文学に対する貢献でも知られ、エッセイや手紙では女性の文学的地位についての考察が含まれている。近代主義文学運動の代表的な作家の一人であり、文学界に大きな影響を与えた。

作家として評価を得るも、その生涯は決して平坦ではない。自身の苦悩が作品に反映されているとも言われているが、遺書を残して自ら命を絶ってしまう。

ヴァージニア・ウルフとは

波乱の生涯

1882年ロンドン生まれ。学校に行けるのは男の子。女の子は家庭に留まる時代であった。そういう背景にありながらも、知育環境には恵まれ、幼い時から大量の読書に好じる

教育には恵まれたが、家庭環境は順風満帆とは言えなかった。気の短い父親、異父兄弟からの虐待、13歳での突然の母のシ、22歳で今度は父のシ・・段々と精神状態は悪化

激しい発作に襲われ自殺を試みる。

その後は治療を受け、新天地での生活を開始。「ブルーズベリー・グループ」と呼ばれる知的集団:経済学者ケインズを始め、様々な分野で活躍する作家、画家など著名人で構成、の一員になる。ここでの刺激が、彼女の才能を開花させていく。

30歳で結婚。この頃には執筆活動を始めていたが、執筆のストレスでたびたび神経が参ることもあった。それを献身的に支えたのは夫。ストレスない環境を整える一環として、出版社を作る

自由な執筆活動に専念できるようになり、代表作が生まれていく。

1939年に勃発した第二次世界大戦。故郷イギリスも激しい空襲に遭い、ロンドンの家は焼かれ、疎開していたウルフ59歳の時である。小石をポケットに詰め込み、川へ入水、その生涯を閉じてしまう。

世界一美しいとも言われる遺書

ヴァージニア・ウルフは「世界一美しい」とも言われる遺書を残したとされています。

「世界一美しい」とは、一般的な見方ではないかもしれませんが、こちらを読む限り、その精一杯の心の美しさが伝わってくるように思えてなりません。どうぞ安らかに。

Dearest,
I feel certain that I am going mad again. I feel we can’t go through another of those terrible times. And I shan’t recover this time. I begin to hear voices, and I can’t concentrate. So I am doing what seems the best thing to do. You have given me the greatest possible happiness. You have been in every way all that anyone could be. I don’t think two people could have been happier till this terrible disease came. I can’t fight it any longer. I know that I am spoiling your life, that without me you could work. And you will I know. You see I can’t even write this properly. I can’t read. What I want to say is I owe all the happiness of my life to you. You have been entirely patient with me and incredibly good. I want to say that—everybody knows it. If anybody could have saved me it would have been you. Everything has gone from me but the certainty of your goodness. I can’t go on spoiling your life any longer. I don’t think two people could have been happier than we have been. V.

「最愛のあなた、
あぁ、また気が狂いそうです。今度はあのひどい時期を乗り越えることはできないでしょう。そして今回は回復できない気がしています。声が聞こえるようになり、集中ができません。だから、最善の選択をします。あなたは私に最大限の幸福を与えてくれました。あなたは誰もが望むような存在でした。これほど幸せな2人はこの世にいなかったでしょう。このひどい病気が襲ってくるまでは。私はこれ以上戦えません。あなたの人生を台無しにしまうから。私がいない方があなたも仕事ができるでしょう。そう確信しています。ご覧の通り、私はこれさえ正しく書けません。文字を読むこともできません。言いたいことは、私の人生の幸福はすべてあなたのおかげだということです。あなたは私に対して忍耐強く、これ以上ないほど良く接してくれました。それを伝えたい。—誰もが知っている事を。もし誰かが私を救えたのなら、それはあなただけだったでしょう。すべてが私から離れてしまいましたが、あなたの優しさだけは確かです。もはやあなたの人生を台無しにすることはできません。私たちがこれまでで最も幸せだった2人だと思います。 V.」

代表作3選

『ミセス・ダロウェイ』(”Mrs. Dalloway”、1925年)

主人公クラリッサ・ダロウェイの1日の朝から晩までの出来事を追いながら、内面の葛藤や思考を探求する作品で、時間の流れや人間のつながりを中心テーマとする。

高級社交界に所属し、ロンドンで社交的な人生を送る。物語は、夕方に行うパーティーの準備と開催に焦点が当てられる。登場人物の内部世界が詳細に描写され、読者に深い洞察を提供してくれる。

ウルフ文学的スタイルの典型例とも言われ、傑作としての評価が高い、代表作の一つ。

『オーランドー』(”Orlando”、1928年)

性別や時間を超えて生きる主人公の冒険を描いた、異色作であり、半自伝的作品。主人公は、16世紀イングランドの貴族オーランド、物語は彼の長寿の冒険と生涯を追いかける。

一見普通の小説として始まるが、オーランドは何世紀もの間生き続け、男性から女性への性別転換を経験。人生の変遷や社会の変化を描いていく。

本作でウルフは、社会的なジェンダー観念や文化的な変化に対する批判を投影していると言われ、性別、アイデンティティ、文化的変化に関する洞察に富んだ重要作品の一つとされている。

オーランドのモデルはウルフの友人、ヴィータ・サックヴィル=ウェスト(Vita Sackville-West)。育った環境から同性の友人に癒しを求める時期もあった、恋愛的要素も含まれる。

『灯台へ』(“To the Lighthouse”、1927年)

物語は、家族の一族がスコットランドの海岸にあるバーシュリー島の別荘に滞在する夏の期間を追いかける形で進行し、内面の複雑さ、家族、時間の経過に焦点が当てられる。

登場人物たちの内面の葛藤や思考、家族間の複雑な関係を探求する作品であり、ウルフの内省的なスタイルとキャラクターの心理描写が際立つ代表作の一つであり、20世紀文学における重要な作品とされている。

BookTube〜私のベストX〜

そんなヴァージニア・ウルフを大好きな本の一冊として数えている女性2名のBookTubeをご紹介。色々ある作品の中で読みたいのはコレだ!

動画①:Christy Anne Jonesさん(27:37)
動画②:Elizabeth Filipsさん(8:51)

動画①:Christy Anne Jones(my favourite books of all time 📖)

  • フランケンシュタイン、メアリー・シェリー
    Frankenstein by Mary Shelley
  • パチンコ、ミン・ジン・リー
    Pachinko by Min Jin Lee

  • 墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活、ニール・ゲイマン
    Graveyard Book by Neil Gaiman

  • コララインとボタンの魔女、ニール・ゲイマン
    Caroline by Neil Gaiman

  • 絵本
    Instructions by Neil Gaiman

  • 地上で僕らは束の間きらめく、オーシャン・ヴォン
    On Earth We’re Briefly Gorgeous by Ocean Vuong

  • ライラの冒険(3部作)、フィリップ・プルマン
    His Dark Materials by Philip Pullman
  • 未邦訳、リチャード・フィドラー
    Ghost Empire by Richard Fidler

  • 黙約、ドナ・タート
    The Secret History by Donna Tartt

  • ゴールド・フィンチ、ドナ・タート
    The Goldfinch by Donna Tartt
  • 未邦訳、ブルース・D・ペリー、オプラ・ウィンフリー
    What Happened to You by Dr. Bruce Perry and Oprah Winfrey

  • ハリー・ポッター(シリーズ)、J.K.ローリング
    Harry Potter by J.K. Rowling

  • ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル、スザンナ・クラーク
    Jonathan Strange & Mr.Norrell by Susanna Clarke

「ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル」は、ヒューゴー賞も受賞したイギリスの魔法使いが出てくるファンタジー。イギリスにはファンタジーの名作が本当に多いわね!

  • ピラネージ、スザンナ・クラーク
    Piranesi by Susanna Clarke

  • アキレウスの歌、マデリン・ミラー
    The Song of Achilles by Madeline Miller

  • キルケ、マデリン・ミラー
    Circe by Madeline Miller

  • 旅猫リポート、有川浩
    Travelling Cat Chronicles by Hiro Arikawa
  • ねじまき鳥クロニクル、村上春樹
    The Wind-up Bird Chronicle by Haruki Murakami

  • 百年の孤独、ガブリエル・ガルシア=マルケス
    One Hundred Years of Solitude by Gabriel García

  • オーランドー、ヴァージニア・ウルフ
    Orlando by Virginia Woolf

  • ハウルの動く城(3部作)、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
    Howl’s Moving Castle by Diana Wynne Jones
  • エデュケーション、タラ・ウエストオーバー
    Educated by Tara Westover

  • 魔法の玩具店、アンジェラ・カーター
    Magic Toy Shop by Angela Carter

  • 赤毛のアン、モンゴメリ
    Anne of Green Gables by L.M. Montgomery

  • セルリアンブルー・海が見える家、T.J.クルーン
    The House in the Cerulean Sea by T.J. Klune
  • ドリアングレイの肖像、オスカー・ワイルド
    The Picture of Dorian Gray by Oscar Wilde

動画②:Elizabeth Filips(The top five books for people like me)

  • ホーキング宇宙を語る、スティーブン・ホーキング
    The Brief History of Time by Stephen Hawking
  • 灯台へ、ヴァージニア・ウルフ
    To the Lighthouse by Virginia Woolf
  • 道徳の系譜、ニーチェ
    The Genealogy of Morals by Friedrich Nietzsche
  • 死すべき定め、アトゥール・ガワンデ
    Being Mortal by Atul Gawande
  • 嫌われる勇気、岸見 一郎/古賀 史健
    The Courage to be Disliked

日本語のタイトルが入っているのは嬉しいね!「嫌われる勇気」は、日本よりも世界の発行部数が多くなってるみたい!

タイトルとURLをコピーしました