日本人で1番売れたのは、意外にこの本だった

わたしの注目作

芸能人は普通じゃない。

やっぱりそう思う。して、そう思うのは行動力

たくさん芸能人本を読んだわけではないですが、興味を持った人の本は何となく目がいってしまう。何年も前に読んだ本、今でも記憶に残っている事もあります。

例えば、Gacktさん。

ストイックな精神力は言わずもがなですが、売れるまでにしたことが凄い。道行く女性にひたすら声をかけたそう。誰彼構わずという訳ではなく、自分の夢に経済的支援をしてくれそうな人。

結果的に50人ぐらいの支援者を獲得したそうですが、3ヶ月で2000人以上、のべ1万人?とか。

知らない人に声をかける。それだけで相当な精神修行だと思うのですが、その前には受け入れてもらえる外見なり気持ちなりも整えないといけない。こうなる!という強い目標、そこに向かってひたすら努力する。Gacktさんが語っていた言葉で心に残っている将来像はこちらです。

“眩しすぎて見えない”

例えば、スウェーデン出身で庭師の村雨さん。

中学の授業で武士道や侘び寂びなど、日本文化に興味を持ったのがきっかけで、10代で日本留学を志す。学生当時スウェーデンからひたすら日本に電話をかけまくり、ホームステイを実現させたエピソードが印象的。

“行動していると環境も変わるし関わる人も変わる。これまでのご縁に恵まれてきたのは行動してきたからだと思う”

最後は、日本人初ファーストレディであるデヴィ夫人

表紙が美人すぎて目が持っていかれたのと、どういう人生を歩んできたのか気になったのでした。

考え方も素敵ですが、スタンダール「赤と黒」のレナール夫人や、トルストイ「戦争と平和」のナターシャなどがサラッと出てくる教養も素敵。

今世紀最大に売れた日本の本

そして今回のメインは、こんまりの愛称で親しまれる近藤麻理恵さん。

芸能人というくくりは正しくないかもしれませんが「人生がときめく片づけの魔法」が全世界40ヵ国、1400万部超爆売れしてしまった方。

日本人のビジネス本が世界的ヒットになること自体が異例

国内小説で歴代1位の売り上げを誇る村上春樹氏「ノルウェイの森」が1300万部とありますので、なんと春樹超えなのです。

こんまりさんをお昼の番組で見かけた時分もありましたが、ずいぶん昔だったような。日本では今となっては下火かもしれませんが、世界ではまだまだ本火力。わりと最近の本に引用されているのを見て、その影響力を思い知らされました。

どうしてそんなに売れたのでしょう?

調べる内に分かってきたことがありますので、それを共有していきたいと思います。

たまたまこんまりさんの片付けメソッドを実践したニューヨークタイムズの記者が、感動して記事を書いたことがきっかけで、アメリカ知識層へ一気に広まった

ナニ!?空前のヒットが偶然…だと?

ブクスタ! – オススメの本を紹介してポイントを稼ごう

日本では掃除や整理整頓コーナー、つまり「主婦層」が主なターゲットになっているようですが、アメリカの本屋では片付け=心を整えるとして「哲学」コーナーに置かれるそうです。

ちょうどアメリカでブームだったマインドフルネスや禅との相性の良さもヒットの裏にあるようですが、自身が読んだビジネス本でも3冊にこんまりさんの引用を見つけ、本物なんだなと思いました。

その3冊とはこちらです。
Re:Think 答えは過去にある、スティーブン・プール(初版2018年)
Chatter「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法、イーサン・クロス(初版2022年)
ユーモアは最強の武器である(初版2022年)

簡単に引用をご紹介しますと、

①:Re:Think

こんまりメソッドは1つの哲学体系。「人生がときめく片づけの魔法」は、チャーミングで機知に富み楽観的。身の回りのものを違った目で見ることを要求する。なぜソックスを丸めないでたたむのか、ソックスのためにそうすべきなのである。ソックスに感情があるかのように語るのは、日本のアニミズムの伝統を思い起こさせる。

実際には約2ページを割いて、こんまりメソッドについて説明。温故知新があるように、新しそうに見えても、アイディア自体は古くから存在するという事が、多くの例を挙げて書かれています。

正しいが正しさのあり方が間違っていたり、間違いでも間違い方が正しい場合もある、という一文が心に残りました。思い当たることありませんか?

②:Chatter「頭の中のひとりごと」

2014年のベストセラー「人生がときめく片づけの魔法」が世界的影響力を持つ理由は、環境に秩序をもたらす事で、心に秩序をもたらすからかもしれない。ときめきを与えてくれる物だけを残すという片づけ哲学は、環境に秩序をもたらす事で感情に影響を与えるという戦略だ。

Chatter=ひとりごとは、資産になる時は良いけれど、苦しい状態では負債でしかない。ネガティブな思考と感情が循環して悪影響を及ぼす、そんな声を制御する方法を教えてくれます。

ちなみに本書はかなり文字が大きいため、厚さの割には速く読めると思います。

③:ユーモアは最強の武器である

(中略)食器棚の引き出しの中はこんまり的にはヘル(最悪)だったり。

引用はこの1行だけですが、注釈で「こんまりは素敵な女性だから、地獄(ヘル)でも素敵」と付言されています。まさに人気絶大!?

本書はユーモアの4つのタイプなどを紹介していますが、
“ユーモアは塩と同じ=やたらと使いたくないが、一つまみで効果絶大”、これが1番効きました。

テーマがユーモアだけに、加えて面白いのはCIAに実際にある「業務を円滑にしないマニュアル」(妨害用)。是非日々のルーティンにユーモアを。

・委員会ではさらなる検討として、あらゆる事項に言及し、5人以下で会議を行わない事
・できるだけ長々と喋る事
・決議には、的確な文言を巡って細部まで検討する事
・本題と関係ない話題を多く持ち出す事
・前回会議を蒸し返し、決議の妥当性を改めて問い直す事

運も実力の内?

アメリカのブームと重なった「運」は強かったかもしれない。時代の流れ、それも自国だけでなく、ヒットを作り出せる力のある国の潮流に乗っかる事ができた「運」。

先にご紹介した「Rethink」にもこんな事が書かれています。アイディアとして認められるのに必要な事の1つは時宜。ブラックボックスが埋められていなかっただけの、未証明なアイディアに陽が当たるのは、後世の発見があってから。

まさに彼女の片づけ哲学は、時宜に乗っかったものだったのかもしれません。

ご本人が時宜を狙ったのであれば、運でなく実力とも言えるでしょうが、時宜を狙ったのはおそらく最初にアメリカでの出版を思いついた人「これは売れるに違いない」と。

では運だけで世界的ヒットを成し得るのでしょうか。

いやいやそんな事はないはず、と思ってさらに彼女のインタビュー動画などを探していると、やっぱり運以外の要素はあったのです。読書に関する要素を2つ紹介したいと思います。

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成功の裏、その①

因果関係というものは、こと複雑な世の中にあっては分からないもの。分かるのはあくまで相関関係。

こんまりさんが一体何をしたのか。同じ事を全てやったら必ず成功するというものでもありませんが、成し遂げたい事がある方は参考にしてくださいね。

ただ、行動した先には何かしら今までと違う景色があるのでしょう。冒頭の芸能人然りです。

幼い時から母親の購読していた主婦雑誌を見るのが好きだったというこんまりさん。中学生で「片付け」を極めてやろうと研究を始め、18歳の時にある事にチャレンジをしたそうです。

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国会図書館で片付け関係の本を探して全部読

学生が利用するにしては、かなり意識の高い場所ではないでしょうか。そもそも自身の学生時分など、その存在すら知らなかった。彼女の当時の行動範囲など知り得ませんが、普通の図書館でなく国会図書館を選んだ時点で違いを感じてしまいます。

国立国会図書館リンクはこちら
https://www.ndl.go.jp/index.html

国会図書館って何?と思う方に少しだけご紹介します。参考にしたのはこちらの本。

国立国会図書館法という法律では「原則日本で発行された本は、全て国会図書館に納付する必要がある」そうです。オンラインでの検索も可能、日本で発行されたありとあらゆる本を含むことを目指すデータベースとなっている。

何かを調べたいときに最も網羅的に調べる事ができる場所、ということになりますね。「実践、自分で調べる技術」では、検索の仕方や国会図書館以外で調べる様々な方法も紹介されています。

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成功の裏、その②

土井英さんという方をご存知でしょうか。

こんまりさんに興味が出るまで存じ上げなかったのですが、「人生がときめく片付けの魔法」の出版プロデュースに携わった人。だけでなく、Amazonジャパンの立ち上げに参画し、27歳で社長賞を受賞したAmazonカリスマバイヤーという肩書きもお持ちです。

独立当時のこんまりさんは、土井さんがメルマガで紹介されていたビジネス本をとにかく読んで勉強したそうですが、本に書いてあることを全部やったからと言って成功が手に入るとは限らないでしょう、とは思うものの、その根性と行動力、やり切る力は本物だと思いました。

元々こういう力のある方だからこそ、表には出ていないその他の努力もきっとあるのだと思います。

で、一体どんな本が紹介されているのだろう。と思ったので、現在出版されている「人生で読んでおいた方がいいビジネス書75冊」を読んでみました。この本のご紹介をして終わりにしましょう。

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カリスマおすすめのビジネス本

実際は75冊以上が紹介されています。読んだことはないけれど、何の本か気になっていた方が、中身を知るにはちょうど良い、そんなガイドブックです。

ペラペラめくって「やっぱりそうか」と思えば読まなくて済むと思いますし、逆に「もっと知りたい」と思えば手に取ってみれば良い。

以下にほんの一部をご紹介。

7つの習慣、スティーブン・コヴィー
・重要な物以外を捨てること
・重要✖️緊急マトリックス、緊急でないが重要に注力

非常識な成功法則、神田昌典
・やりたくないことからやりたいことを見つける

ザ・ゴール、エリヤフ・ゴールドラット
・小説仕立て
・ボトルネックの解消が生産性を上げる鍵

なぜか、「仕事がうまくいく人」の習慣、ケリー・グリーソン
・先のばし癖を退治する8つの鉄則

インベンション 僕は未来を創意する、ジェームズ・ダイソン
・ダイソンの起業物語
・ダイソンに影響を与えた本田宗一郎、成田昭夫らのストーリーが、ダイソン自身の言葉で語られる

進化思考、太刀川英輔
・変異の9パターン
「変量」極端な量を想像してみよう
「擬態」欲しい状況を真似てみよう
「欠失」標準装備を減らしてみよう
「増殖」常識よりも増やしてみよう
「転移」新しい場所を探してみよう
「交換」違う物に入れ替えてみよう
「分離」別々の要素に分けてみよう
「逆転」真逆の状況を考えてみよう
「融合」意外な物と組み合わせよう

付加価値のつくりかた、田尻望
・キーエンス出身著者によるキーエンスのノウハウ本
・付加価値の3種類「置換」「リスク軽減」「感動」

影響力の武器、ロバート・チャルディーニ
・心理学「返報性」「一貫性」「社会的証明」「好意」「権威」「希少性」など

ゲームの変革者、A・G・ラフリー他
・P&Gのイノベーションの秘密

ファスト&スロー、ダニエル・カーネマン
・プライミング効果、ハロー効果、確証バイアスなど
・プロスペクト理論、カーネマンのノーベル賞受賞のきっかけ

サードドア、アレックス・バナヤン
・1stドア、正面入り口
・2ndドア、VIP
・3rdドア、誰も教えてくれない

ブリッツスケーリング、リード・ホフマン他
・リンクトイン創業者
・ナチスドイツの電撃戦が由来、ドイツ語で雷はブリッツ
・全面攻勢戦略、攻撃側の前進速度があまりに速いため戦線は混乱
・スピードと不確実性が武器

ネットワークエフェクト、アンドリュー・チェン
・多くの人が使うほど製品価値は上がる

ビジョナリー・カンパニー2
・ジェフ・ベゾスが経営陣に読ませた
・誰をバスに乗せるか(最初に人、その後に目標を選ぶ)

Die with Zero、ビル・パーキンス
・死ぬ時にゼロを目指す、健康で体力があるうちにお金を使いましょう

本当におすすめです

ビジネス書の要諦は通読ではなく、エッセンスだと思っている自分としては、75冊全て読むことよりも、75冊の要諦を知っておくことに価値がある、とは思っています。

とはいえ全体を通して学べる本も中にはあるかと。

紹介本の中で、自身も読んだことがあり、これは「おすすめ」という3冊はこちらです。いずれも好き&素晴らしい良書だと思います。

そして土井さんの本にあえて1冊加えるとしたら、こちらです。ビジネスマンは読んで損はないかと。

ずいぶん長い間、強運の持ち主だと思っていたこんまりさん。成功の裏にはやはり行動力考え方の哲学があるのを知りました。そしてとても勉強家でいらっしゃいます。

努力があって初めて「運」は降ってくる、そんなものなんだと思います。

*参考*

夜明け前のPLAYERS(こんまり✖️成田悠輔)
https://youtu.be/tUADC6udHOE?si=rrAr_k4AvYgvvrh8
前編、中編、後編あり

出版区
https://youtu.be/NSqxJQPRIhQ?si=2G_Cl9i2Ga0gxMVs

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