どんなにぶ厚い本でも、あっという間に終わってしまった!といってすぐ思いつくのは「ハリー・ポッター」シリーズ。そんな魅力的な作品に「モンテ・クリスト伯」も加えてみたい。
本記事は、簡単に本作のあらすじをお伝えしてから、2本のBookTubeをご紹介。
・BookTube①他にどんな作品が面白い?
・BookTube②読もうか迷っている方へ
最後に、長編読破のコツという内容になっています。
自身の感想はnoteでも公開していますので、ご興味のある方は宜しければご参考にどうぞ✨
モンテ・クリスト伯とは
1844年発表アレクサンドル・デュマ(フランス)による人気小説。日本では2018年にディーン・フジオカさん主演「モンテ・クリスト伯 -華麗なる復讐-」でドラマ化されました。174年経っても色褪せないのは名作の証。
ナポレオン没落後の19世紀フランスが舞台。作者デュマが生きた時代でもあります。復讐劇として有名ですが、いわゆるエグい描写は全くないので、苦手な人でも問題なく読めます。エンタメ要素だけでなく、人間とは、など人間の本性に迫る深淵な内容も含まれているのがまた魅力。
たびたび映像化されている事からも分かるように、現在でも人気の高い作品。所々の挿話が不必要に物語を長くしているという意見もあるようですが、全体として満足度の高い物語に仕上がっていると思います。読了後の”満足”が約束された作品と言っていいでしょう。
岩波文庫では7冊という大ボリュームですが、岩波少年文庫は上中下3冊のダイジェスト版。少年文庫の方は未読ですが、おそらく挿話が省略されて読みやすくなっているのかと予想しています。
「巌窟王」とは、明治時代の翻訳からくるタイトルだそうです。当時の日本人に親しみやすくするためにこの名前が付けられたそうで、こちらの名での作品も数多く存在。内容は同じです。
あらすじ
慎ましくも幸せな生活を送っていた船乗りエドモン・ダンテス。明るい未来が待っていたはずの青年に訪れたのは、突如の逮捕からの転落人生。何の罪も犯していないにもかかわらず、14年もの長きに渡って孤島の要塞「シャトー・ディフ」の牢獄に閉じ込められる。
絶望した彼だったが、牢獄で運命的な出会いを果たす。出会いをきっかけに莫大な財産を持った「モンテ・クリスト伯」が誕生、“神の摂理”において復讐が行われていく。周到に用意された復讐劇、因果応報にカタルシスを感じる人も多いはず。
また、本作が単なる復讐劇として終わらないのは、愚かな行いをする人間心理、復讐を遂げた後の気持ちについても触れられているからでしょう。絶望の淵で人が前に進むために必要なもの、復讐の果たすべき価値とは?なども考えさせられます。
要塞「シャトー・ディフ」は、かつて重要な政治犯を収容するために実際に使用されていた監獄。今ではモンテ・クリスト伯の舞台として観光船が出ており、訪れることができます。
BookTube①本作を好きな人は他にどんな作品に注目しているか
「モンテ・クリスト伯」を好きな本ベスト10として紹介しているのはJohn Fishさん(My Top 10 Books of All Time)。本作を好きな人が他にどんな作品に注目しているのか?そんな事が気になるのは自分だけでしょうか。
フィクション、ノンフィクション、実用書から最後は未邦訳ですが詩集まで、ジャンル幅広く紹介してくれているのが良いと思いました。
詩集と言えば、最近ようやく万葉集や古今和歌集に親しみだしてはいますが、普段あまり詩集を多く読む方ではありません。自身の岩波文庫チャレンジでいくつか詩を読んだ事もありましたが、難しいと感じたものが多く、詩の世界に浸るというより、詩集は脳トレ。相当頭を使うイメージの方がまだ強い。
詩の世界は難しい・・とやや敬遠気味でいたのですが、最近「論語」を読んでいて拾った言葉がこちら。そして詩を楽しめるようになりたいと、改めて心を入れ替えたのでした。
詩は以て興すべく、以て観るべく、以て群すべく、以て怨むべし
「どうして詩を学ばないのだ。詩は心を奮い立たせるし、ものごとを観察させるし、人々と一緒に仲良く居らせるし、怨みごともうまく言わせるものだ」(岩波文庫訳)。
岩波文庫訳は難しそうに見えますが、見た目とは裏腹にめちゃくちゃ読みやすいのでおすすめです。
さてさて、それではリストをどうぞ!
1.
ドン・キホーテ、セルバンテス
“Don Quixote” by Miguel de Cervantes
2.
モンテ・クリスト伯、デュマ
“The Count of Monte Cristo” by Alexandre Dumas
3.
デューン砂の惑星、フランク・ハーバート
“Dune” by Frank Herbert
4.
ビラブド、トニ・モリスン
“Beloved” by Toni Morrison
5.
歌え、翔べない鳥たちよーマヤ・アンジェロウ自伝
“I Know Why the Caged Bird Sings” by Maya Angelou
6.
マルコムX自伝、マルコム・X、アレックス・ヘイリー
“The Autobiography of Malcolm X” by Malcolm X and Alex Haley
7.
黒い司法――黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う、ブライアン・スティーヴンソン
“Just Mercy” by Bryan Stevenson
8.
夜と霧、ヴィクトール・フランクル
“Man’s Search for Meaning” by Viktor Frankl
*動画作成者No1
9.
フロー体験 喜びの現象学、ミハイ・チクセントミハイ
“Flow” by Mihaly Csikszentmihalyi
10.
未邦訳(詩集)、メアリー・オリバー
“New and Selected Poems, Vol. 1” by Mary Oliver (an anthology)
*全米図書賞
(おまけ)自身が脳トレに最高だと思っている詩集はこちら。
「モンテ・クリスト伯」は名作・傑作として本ブログにも何回か登場しています。気になる方はこちらもどうぞ。
BookTube②本作の楽しみ方
もう一つ是非とも紹介したいBookTube。throneofpagesさん(call me the countESS of monte cristo 😫✊reading a 1,243 page classic)。「モンテ・クリスト伯」にどハマりした様子が伝わる大好きな動画です。
読もうかどうか迷っている方にはぜひ一度見て頂きたいです。気分が上がります✨
また、こちらの動画を紹介するのは、好きの熱量もありますが、この後触れる長編を読破するコツ(15:54 reading tipsから)についても教えてくれているからです。
1冊読み切るには〜長編読破のコツ〜
動画をまだ見ていない方のために、彼女が語っている長編読破のコツ+αをここでご紹介します。
単純なことですが「あらかじめXXページ読む」という目標を設定すること(動画では50ページ区切りで付箋を貼って、毎日50ページ読むことにしたそう↓画像参照)。
この方法が良いのは、目標ページを達成するたびに小さな成功体験となり、自信や達成感につながるからです。これは自身もよくやる方法。ただ、ページ数で区切らずに章で区切ることも多いです。なんとなくのイメージでは、長い小説はページ数区切り、実用書は章区切りが良いのかもしれません。
最初に「ここまで読む」と決めてかかると、案外読めてしまいます。
長編に限らず、なかなか1冊を読み切ることができない人や、まだこの区切る方法をやったことがない人は、ぜひお試しにどうぞ。毎日でも達成できそうな現実的な目標を設定するのが長続きのコツです。
なぜなら、目標達成した時はその後のモチベーションも上がりますが、達成できなかった時には逆効果となるからです。達成が難しいと思ったら、優しい目標に変えてでも、達成できることを最優先に設定することをおすすめします。
また、毎日でなくとも、1週間で、など目標をおおまかにして「遊び」を作るのも一つの方法。
読書に限らず、小さな事の積み重ねが、やがて大きな事を成し遂げる力になるとも言えるでしょうか。
1冊115円のDMMコミックレンタル!+α
先にご紹介したBookTube①では「ドン・キホーテ」と「モンテ・クリスト伯」2つの長編が含まれていました。作成者John Fishさんが動画で触れているように、長編は“読書チャレンジ”と“称して”読み始めるのも一つの手だと思います。
“ただ読む“よりも“チャレンジ化”すると自然とモチベーションが上がります。自身の場合は「失われた時を求めて」がまさにチャレンジ効果を発揮した読書体験でした。「チャレンジ=目標」がなければ絶対に読み終わらなかったと言い切れるほど、途中挫折しました(笑)。
さて、ここからは+αでできることを5つご紹介します。長編に限らず、読書全般にも当てはまることですが、試した事のないものを発見されたら、これを良い機会にしてみてはいかがでしょうか✨
①環境を整える&耳活
・集中できる場所、お気に入りの読書スペースを見つけましょう
・電子書籍やオーディオブックを活用してみましょう
(通勤時間やちょっとした隙間時間で進捗稼ぎ)
②メモを取りながら読む
登場人物やストーリーをメモしてみましょう。人物名が複雑、設定が複雑な場合は特に、メモを取っておくことが長編理解(読破)の大きな助けになります。
自身の場合は、スマホのメモアプリが常套手段になっていて、読む途中は理解の助けになり、読み終わった後は備忘録として活躍してくれています。
「ゆる言語ラジオ」で「読書は、自分用の本を編集し直すこと」というニュアンスの件(21:11〜)がありましたが、まさにそうだと思いました。
③映画化された作品を見てから読む
ストーリーの概要を掴みやすくなるので、先に映画を見ておくのも一手です。
今回ご紹介したBookTube①でいう「デューン砂の惑星」がこちらの例のおすすめ。映画は2部作でいずれも公開済。時に映画でも設定についていきづらいと思うこともありますが、だからといって気にする必要はありません!
一通り見てしまえば「あぁこういうことを言ってたかもしれない」となんとなくでも設定を覚えていたりします。この“なんとなく感“が実際本を読む時助けになり、後日のアハ!になったりします。
④楽しむことが最優先
途中でつまらなくなったら一旦休みましょう。無理に読み続けると、読書自体が苦痛になります。一度休んでから、気分が乗ったときに再開を。
それでも読み続けられない時は、本のジャンルを見直すことも一つです。普段全く本を読まない人でも「ハリー・ポッター」は全部読んだという人もいます。まず1冊、が大きな1冊。
読書好きの方を対象にした書籍紹介メディア「ブックレコメンド」⑤読書仲間に励みをもらう
SNSなどでの共有が大きな力になることもあります。1冊読了と言わず、“ここまで読んだ“ポストはX読書垢でもよく見かけます。
(ただ、読書垢界隈ではガチの読書家を目にする事も多く、自分まだまだだな・・と気落ちすることもたまにありますが・・)
いや!
こういうことは他人と比べてはいけないのです。昨日の自分より今日の自分、伸び代です。
最後まで読んでくださりありがとうございました✨
お楽しみ頂けたら幸いです。