【夜と霧】どん底から抜け出すヒント、それは

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「夜と霧」は過酷なアウシュヴィッツを生き抜いた記録ではあるが、単なる生還記録ではない。凄惨な状況の中で見出された光は、現代の私たちへも届く、より良く生きるためメッセージでもある。

この本から拾う事は人それぞれあると思う。レオナルド・ダ・ヴィンチがかつて言ったように「鐘の音を聞け、鐘は1つだが音はどうとも聞かれる」

ここでは前を向くきっかけになった心に焦点を当てているが、最後に紹介するBookTubeの言葉(吹き出し)も好きだ。

ピックアップ「夜と霧」

ビクトール・フランクル(Viktor E. Frankl)「夜と霧」(Man’s Search for Meaning)は、第二次世界大戦下、アウシュヴィッツでの収容所経験を元に書かれた。

ユダヤ人であったがために、大戦下のホロコーストで、ナチスドイツの強制収容所アウシュヴィッツに収容される。そこでの生活は人としての尊厳を奪われる想像を絶するものであった。

同じく連行された家族の中で、生き残ったのはフランクルだけ。両親と兄、結婚してまだ9か月の妻は、みな収容中に亡くなっている。

これは、フロイトやアドラーに師事し、ウィーン大学医学部神経科の教授でもあった彼が、収容所での体験を心理学者の立場で綴った“夥しい小さな犠牲と小さなシ“の記録。

極限状態に陥った時、生とシを分つものは何だったのか

人生の意味や価値、存在目的について探求し、人間の精神的な強さと抵抗力についての深い洞察から、特に困難な状況や苦難に直面した人々に対して、希望と力を与える本として高く評価されている。

戦後、フランクルは「人生はどんな状況でも意味がある」と説き、生きがいを見つけられずに悩む人たちにメッセージを発し続けた。 彼が残した言葉は、先が見えない不安の中に生きる現代の私たちにとっても、良き指針であり続けるだろう。

タイトルの意味

放題「夜と霧」は、夜陰に乗じ霧に紛れて、人々が何処となく連れ去られる様子から。またそれは、1941年に制定された法律「夜と霧」、ナチスに反する思想・信条を持つ人たちを「夜と霧に乗じて」人知れず連行せよという命令から。

法令名は、当時ヒトラーが愛聴していたワーグナー「ラインの黄金」の一幕「夜と霧になれ、誰の目にも映らないように」に由来しているとも言われる。

収容所生活、光と闇を分けたもの

劣悪極まる。4日間でパン一切れ、一度も歯は磨かず、半年同じシャツを着る・・“いい人は帰ってこなかった“と語る。人はただの数字でしかなかった。表紙の数字はフランクル自身の収容者番号。

フランクルは、専門である心理学的見地から、収容された人々の反応を3段階に分けて記述している。

・第一段階:(入所時)ショック状態
・第二段階:(収容時)内面のシ、感動の消滅、無関心
・第三段階:(解放後)非現実的感覚

第二段階である内面のシというのは、不感無覚の盾でもあり、精神の自己保存メカニズム。感情を捨てなければ、そうでもしなければ、生きてはいられない状態・・個人は集団の中に消えていく。

耐えられなくなった人の中には、電流が走る鉄条網へ一目散に走っていった人もいた。自らの命を自ら絶った人がいた中、生とシを分つものは一体何だったのか。

曰く、人間の内面は外的運命よりも強靭

人間としての最後の自由・決断の自由・精神的自由だけは奪えない

極限状態で降りてきた光、それは精神的に奮い立つには未来への希望・目的が必要だと言う認識。

クリスマスには解放されるだろうという希望を抱いていた人々が、当日を迎えても何も変化がない事が分かったと同時に、多くの人が命を落としたという。希望、かつての生活や家族との再会を夢見る事、は生への光、糧であった。

著者はニーチェを引用して語る「なぜ生きるかを知っているものは、どのように生きることにも耐える」ただし、なぜ生きているのだろうと、生きることの意味を問うのはやめようとも言う。

生きるとは、生きることの問いに正しく答える義務、生きることが各人に課す課題を果たす義務、時々刻々の要請を充たす義務を引き受けること。

なぜ生きているのか、ではなく、どんな人生にも意味があると捉える。

ただ生きること。それ自体に意味がある

およそ人とも思えぬ生活を耐え抜き、ついに解放される日が来ても、第三段階を抜けるまでは夢のような状態が続くという。せっかく戻った世界は元の世界ではない。家族もいない。こういう状態から抜けるには相当な時間がかかる。

だがそれは、ふたたび人間になれた日

人生をどん底から救った考え方

極限状態でフランクルが見出した生きるためのヒントは、
①アレコレ問う事ではなく
②ただ生きる事
この2つを現代の私たちに置き換えて、それぞれ考えてみたい。

①アレコレ考えないとは

これを言い換えれば「悟り」を得た状態に近いのではないろうか。悟りとは、道徳的・精神的・知的な解放、生と死の拘束から解き放ち自由になる、無心の状態。問いに煩わされることのない心の状態

八世紀の在家仏教徒であった人がこんな言葉を残している。

何て不思議で神秘的なことなのか!私は水を汲み、薪を運んでいる

水を汲むことや薪を運ぶことそれ自体が、その有用性に関わりなく、意味に満ちている。生はそれ自体で十分であると。(参考:禅と日本文化)

強制収容された人と仏教徒の精神状態はかけ離れているが、当時の心的状況を理解する一助にはなり得るのではないか。逆に言えば、悟りを得るのもやはり(精神的な)極限状態から。

スティーブ・ジョブズが実践していた禅、現代風に言えばマインドフルネス。悟りを得る事は簡単にできないが、心を静かに落ち着かせる事はできる。

②ただ生きるとは

何もかも上手くいかない。流れるように日々を過ごす時、暗い底から明るい空を見上げたい時、そんな時の気持ちを好転させるには、目の前の事をただやる、事ではないだろうか。何もやる事がない時こそ、フランクルが言うように、目的や希望を見つける。それに沿ってどんな些細な事でも良いから前に進む。

何も思いつかなければ、何かを思いつくことを目的にして、外を散歩してみてもいい。何かを思いつくために本を読んでも良い。人と会っても良い。今の私たちには選択肢がある。

BookTube〜人生を豊かにする7冊〜

「夜と霧」を含むおすすめ本を紹介しているBookTubeはこちら。

①Fearless Soul

Fearless Soulより、7 Books You Must Read If You Want More Success, Happiness and Peace(人生をより成功に、幸せに、平和に導く7冊)(9:08)

  • 1.
    さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる、エックハルト・トール
     “The Power of Now” by Eckhart Tolle
    *世界的ベストセラー
  • 2.
    思考は現実化する、ナポレオン・ヒル
    “Think and Grow Rich” by Napoleon Hill

  • 3.
    運命が好転する実践スピリチュアル・トレーニング
    または
    願えば、かなう エイブラハムの教え、エスター・ヒックス、ジェリー・ヒックス
    “Ask and It Is Given” by Esther and Jerry Hicks (Abraham Hicks)
    *他作に「引き寄せの法則」など

  • 4.
    思い通りに生きる人の引き寄せの法則、ウェイン・W・ダイアー
    “The Power of Intention” by Dr. Wayne
  • 5. 
    ニュー・アース:意識が変わる世界が変わる、エックハルト・トール
    “A New Earth” by Eckhart Tolle

  • 6.
    小さいことにくよくよするな!:しょせん、すべては小さなこと、リチャード・カールソン
    “Don’t Sweat the Small Stuff” by Richard Carlson

  • 7.
    夜と霧、ヴィクトール・フランクル
    “Man’s Search for Meaning” by Viktor Frankl

動画で紹介してくれてるセリフが心に響く「When we are no longer able to change a situation, we are challenged to change ourselves.」(状況を変えることができない時、それは自分自身を変える時

②Order of Manより

Order of Manより、7 Books Every Man Should Read(全ての人(男性向けではある)におすすめの7冊)、8冊目に自分の本を紹介!(20:37)

原因と結果の法則、ジェームズ・アレン
“As a Man Thinketh” by James Allen
*すぐ読める(Quick read)

やりとげる力、スティーヴン・プレスフィールド
“The War of Art” by Steven Pressfield

エンデュアランス─史上最強のリーダーシャクルトンとその仲間はいかにして生還したか、アルフレッド・ランシング
“Endurance” by Alfred Lansing

自省録、マルクス・アウレリウス・アントニヌス
“Meditations” by Marcus Aurelius

男らしさの人類学、デイヴィッド・ギルモア
“Manhood in the Making” by David Gilmore

未邦訳、ジョン・エルドリッジ
“Wild at Heart: Discovering the Secret of a Man’s Soul” by John Eldredge

夜と霧、ヴィクトール・フランクル
“Man’s Search for Meaning” by Viktor Frankl

未邦訳、ライアン・ミヒラー(自分の本)
Sovereignty by Ryan Michler 

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